ICT活用に絶対必要なこと【その1】

最初に気づいた思ったのはもう3年くらい前だっただろうか。

ある小学校の支援員さんを訪問した日の1年生の図工の授業で、タブレットを一人一台で使用した。この自治体のタブレットにはストラップがついているので、小さいこどもでも斜めがけにして持ち歩くときに落とす心配が軽減されている。

この授業は、友だちの絵を鑑賞するものだった。

授業前に支援員さんがすべてのタブレットにワークシートを配布して、開いておいた。

この配布には授業支援システムの配布機能を利用した。

ワークシートは内田洋行の「デジタルスクールノート」を使って、非常にシンプルな、大きな四角い枠と、文字をかける罫線があり、名前を書くところがあるものだった。同じものを3ページ分配布した。

授業が始まる前に子どもたちが教室集まってきて、先生の指示のもと、先週校外学習で描いた、動物園の絵の置かれた図工用のカートを運んできた。

1年生なのでみんなとても小さいのに、協力しあって、3人で大きなカートを転がして廊下まで運んできた。

「特に先生は大きな声で指示していないのに、こんなに危なげなくこんな大きなものを運んでくるなんて、日頃からやっているのだな」と思った。

次にこどもたちは、その絵を各自自分の机に置いて席に着いた。「自分の絵をとって、机に置いたら座って待っててください」と言っただけ。最後の子がカートを少し壁に寄せた。

授業が始まり、先生が黒板に一枚サンプルの絵を貼り付けた。今日の目当てや、やることを説明している時、教室の前の電子黒板にワークシートを映したのだが、冬の昼間、低い日差しで画面が光って見づらかった。

「あーちょっとまぶしいね、見えないかな?」と先生が言うと、窓側の席の子たちが、誰からともなく立ち上がり、小さな手でカーテンを閉めた。「あー〇〇さん、△△さん、ありがとうございます!これでみんな見えるね」と先生が言った。

 

「この前みんなが描いてくれた絵を鑑賞します。ゆっくりみんなの絵を席を回って見てきてください。自分が『この絵が好きだな』『いいな』と思った絵をデジタルスクールノートのカメラで撮って、四角い枠のところに入れてください。次にペンを使って、その絵のどこが好きで、なぜ好きなのか、なぜいいと思ったのかを書いてください。ページをめくると、同じものが3ページ分あります。好きな絵を3枚決めて、同じように貼り付けて、どこが良いか書いてください。」(3年前なのでセリフはうろ覚えです)

 

ここまででまだ授業はこれからなのに、なんだか驚いてしまった。

お分りいただけただろうか。授業のための準備をこんな小さな子どもが率先してやっている。

さらに、画面が光って見えないなら、カーテンを閉めれば良いことを、理解しているのだ。

そして、指示しなくても自主的にカーテンを閉める。ここまでの時間がとても短い。

 

さて、先ほどのタブレットは支援員さんと私で運んで、教室の前のテーブルに置いておいた。

先生の説明が終わったら順番にタブレットを取りに来て、すぐにストラップを画板のように下げる。先生の指示通り、各自展示(机の上に平置き)されているお互いの絵を見て回る。「しましま模様が上手」「この目がかわいいね」などと、お互い自然に会話を交わしている。良いところを探しているので、自ずと褒められて嬉しそうだ。

 

デジタルスクールノートは、アプリのカメラを起動して、写真を撮ると、撮ったものがそのままワークシートに貼りつく。

これまではデジカメなどで撮ったとしても、パソコンのワークシートにそれを貼るには、「挿入」「画像」「ファイル選択」など手数がかかったが、これは撮るだけなので、とにかく速い。

撮った写真のサイズ変更や移動はこの年齢だともう感覚的にわかるのか、小さな指で角をドラッグして、縮め、指定された枠に入れていった。多分以前にもやったことがあるのだろう。

特に機器トラブルもなく、この学校はまだ無線が十分に整備されていなかったが、そもそもこの授業で使っているアプリはスタンドアロンで動作する。アプリを間違って閉じてしまっても、子どもたちはどこにそれがあるか知っているようで、すぐにちょんちょん、とダブルタップして元に戻した。このアプリは自動保存機能があるので、そういう部分も心配が少ない。

再起動して消えてしまう心配も、マイドキュメントとピクチャは復元除外してあるので問題ない。

 

子どもたちは思い思いに絵を撮影し、撮影時も場所を順番にゆずりあって、驚くほど短時間で作業を終えてバラバラと席について自分の感想を書き始めた。文字を書くのはペンなので手書きだが、デジタルは消すのが速い。書き直ししても汚くならない。

一通り終わったところで、先生が「それでは、自分の選んだ絵をみんなに見せて、どこが好きだったか発表してもらいます」と言うと、発表したいと言ったこの中から3名くらいの子が、前に自分のタブレットを持って出てきた。

基本的には無線を使って提示もできるのだが、ここでは、タブレットクレードル(スタンド)を電子黒板の下に設置して、そこにタブレットを置けば、有線で繋がり、画面に自動的に表示されるようにしてあった。

 

子どもはタブレットクレードルにはめ込んで、画面が大きく表示されると、ページをめくりながら、自分の選んだ絵を紹介し、「動物の模様がすごく上手だと思いました」などと自分が感じたことを発表した。

感想を一度文字にしているので、それを読み上げることでスムーズに発表が進む。

 

たった45分の授業で、これだけの活動が1年生にできるのだととても感心した。

授業の後、先生に「こんな使い方しかしてないんですけど…」と恥ずかしそうに言われたが、一番最初に私の口から出たのは「先生の学級経営が素晴らしいですね!」だった。

 

子どもたちが自らやることを理解して、率先して動く。役割を奪い合うこともなく。

これからやる授業に興味を持っている。

友達の絵を配ったり、机においたりするのも丁寧だ。そう教わっているのだと思う。

タブレットは配られたら落とさないようにたすき掛けにする。狭い席の間をすれ違うのも、譲り合う。タブレットが当たらないように両手で抱えて動く。理にかなった安全を守ることや、不快に感じるかもしれないことを理解してやらない、改善することがわかっているようだった。

 

使い方だってすごい。たった45分なのに。

絵を生で見る。写真を撮ることで、それが瞬時に手に入る。

先に全部写真にしてしまうと、まとめて鑑賞したりできるが、やはり紙の質感や絵の具の色あいは損なわれたりする。個人的に、絵は生で見ることが必要だ。

生で見ることで感覚的なことはそこで獲得するが、その記憶を持って自分で写真を撮ることでずっとイメージが残りやすいと思う。

 

そして、決められた枠に入れる操作がスムーズなのは、普段からこまめに使っている証だ。

おそらくこれまでにほかの活動でも写真を撮ってワークシートに貼ることはしていたと思う。使い慣れている単純なツールでコンピュータの基本操作を理解している。

 

さらに自分の意見を文字に書く。

この絵の、どの部分が、どんな風に良いと思うか。先生が最初に例を示して、サンプル画像を

見せて、書き方を教えていた。

書いたことを発表するので、迷いがない。

書くのは褒め言葉なので、発表もしやすい。

あとでこのワークシートを授業支援システムの回収可能で集めておくのは支援員さんの仕事だ。先生はそのシートをあとで確認して、一人一人の評価もできる。

 

この授業がすごく良いと感じて自分の会社に取材してもらい、事例としてカタログにも掲載されたのだが、この時はまだ漠然と「良い」と思っていた。

しかし、今はっきり思うのは、まず「学級経営」そして、「授業のための技術」が素晴らしいからこそ、この活用があるということだ。決して私立の特別な学校ではない。ごくごく一般的な、公立小学校だ。そして、これをやっているのは、決してICTに詳しい先生ではない、中堅の女性の先生だ。ふだん情報担当もしていない。

 

支援としてこちらが受け持ったのは、

タブレットなどの運搬

教材になるワークシートの作成(単純なもの)

事前の配布

授業後の回収

 

これだけだ。

操作にいちいち手がかかることもなかった。

途中シャットダウンしてしまった子をサポートしたくらいだ。

先生がやりたいことが明確で、その目的を支援員さんがきちんと理解したからできたと思う。

もちろんこの後集めたデータをどうするのかなどはあるが、少なくともこの授業をアナログでやろうとしたらどうだろうかと考えて欲しい。

 

ICT活用は、教育技術があってこそ、学級経営があってこそだと思うきっかけになったのがこれだった。

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

ICT支援員の交代における負担について

この時期悩ましいのは、ICT支援員さんの交代。支援員という仕事が仕事を探している人の一時しのぎであることがほとんどで、この仕事で生計を立てられるほどの収入を得るなら、もちろんやり方はあるのだけど、いつでもどこでも誰でも出来るわけではないので、やはり安定職が見つかればあっさり辞められてしまうし、職業の選択はその人の自由だ。同じ支援員の仕事でも、条件は自治体や予算によって変わったり、本当にICT支援員の賃金はおかしいくらいバラバラ。なぜだかも大体わかっているけど本当に酷いもんだと思う。より良い方に行きたいのも仕方ない。

 

ただ、まあ困るのはその人を気に入っていた先生がいたり、特別なことを承っていた場合などだ。人を配置するということはそういうことが大きな課題になりがちだ。

特に現代において、仕事への考え方が非常に軽くなってきているのも感じる。

お金を得るための手段だと割り切っているようなことを言う割りには、その仕事にこだわって、賃金が安いとか生活ができないとか言う。それなら職を変えるほうがよほど早い。でもこの仕事でこんなに頑張ってるんだから今のこの案件で賃金上げろと無理な相談をする人が多い。いかに自分がすごいかを誇示することで、自分の価値を上げようとする動きが非常にあちこちで顕著だが、契約時にそう言う話はしてないのだから、残念ながらこの仕事で賃金を上げるには、数をこなすか条件の良い現場を探すしか現状ないのだ。なのに自分しかできないようにすることを、価値としてしまって、現場を引き継ぎもできないような状態で小難しくしてしまい、結局本人は良いところにあっさり鞍替えしたら残されたところは本当に大変なのだ。

 

ICT支援の仕事っていうのは自分だけの特色を押し付けることではなく、相手にいかにコミットするかである。機器をソフトをバリバリ使える自分を見せつける仕事ではないとはっきり言っておきたい。そしてコミットしながらも、相手の言いなりではなく、ある程度自分の守備範囲内にうまく収まるところに着地できればベストでもある。もちろん多少のチャレンジや背伸びがあるから、スキルも上がるのだけど、目的を見失ってしまっている支援も多くみかけるのは確かだ。

 

さて、ここで、条件の良いICT支援員などあるのか?と思うかもしれないがあなたの「良い条件」とはどう言ったものを求めているのか、金額か、交通の便か、勤務時間の長さか、扱うものの範囲か?そこにいる人か?

逆に、あなたはその良い条件の仕事をこなせるだけのスキルを持ち合わせているか。これからでもスキルアップするモチベーションがあるなど、その仕事に就くためにはその人にも必要な条件があるのだということも忘れてはいけない。あなたの価値はどのくらいか?自慢のスキルがあるとしても、それは、顧客にとって必要な条件を満たしているか?独りよがりの押し付けではないか?この学校教育の世界の先を見据えた時、あなたの支援は本当に現場をあなたを、幸せにしているか?

 

あえて言うならこれからはますます支援員はニーズが出てくる。そういう意味で良い条件の支援員の仕事はすでに「ある」。

しかし、慣れた人が新しく変わることについて、学校現場は非常に抵抗感があるようで、よほど良い人でないと後釜は難しくなる。そう言った意味で特にコミニュケーション能力についてはハードルが高い。

逆に「前の人が良かった」と戻してくれと強く言われたりして、困ってしまうこともある。

なるべくコミニュケーションを重視して、感じのいい人を入れたと思っても、当然前の人よりは慣れていないので、「あの人ニコニコしてるだけで何にもできない」という厳しい指摘がきたりすることもある。本当に悲しい。

でも、管理側はその指摘にも右往左往してはいけない。その支援員さんがまだ足りないところがあるなら、補うのはこちらであって支援員さんに罪を着せるようなマネージャーは失格だと思う。現場からの支援員への評価というのは、とても複雑であるということを知らず、ひとつのクレームで頭に血が上ってしまうようではお話にならないのだ。つまりは声の大きい人が何を求めているかで評価が変わってしまうので、取りまとめをする、支援員さんを配置する側も冷静な評価が必要なのだ。

 

前提として、雇用した時点で、たしかに様々なスキルが足りなすぎるということもあるので、

採用基準というのもこれからもっと見直すべきだが、そもそも条件も良くない上に、短時間で募集しないといけないことが多いので、その場合は本当にどちらもしんどい。そこが実は一番の問題点なのだけど。

 

とはいえ多くのICTが入るようになった学校に対応するには、ある程度のICTスキルも必要で今や一時しのぎでこの仕事に就くレベルの人では務まらないケースが増えてきていることは事実だ。ICTの基礎知識は一朝一夕には手に入らない。これからの仕事でやはり必要なのはコミニュケーションスキル。そして慌てず調べるチカラと彼らを一人にしないバックアップ体制。

ICTスキルはある程度あれば、(この「ある程度」が年々失われつつあり、情報のコンピューターの基礎知識の習得はおそらく日本全体でみても急務だと思う。)からでもなんとかつけていくしかない。この3つが揃わないと支援員という仕事は個人の力量に大きく左右されてしまう。今問題になっている業務範囲については、この「個人差」によるものがほとんどだ。

 

困りごとの解決だけであれば、今後コンピュータの進化によって、ますますソフトのチュートリアル、ヘルプ機能や自動処理が進化すれば、人間による支援は要らなくなってくるかもしれないし、そうであってほしい気もするが、学校はそもそも生身の人間を扱う場所なので、そこがほかの仕事と違うところなのだと思う。

今日のミーティングでは、コミニュケーションスキルを上げるためのコツの話を少しだけした。

ミーティング後、個別でも数名の相談に乗ったが、普段成果もあげているし、上手くやっているように見える人でも、あちこちにコミニュケーションテクニックがあれば解決できる小さな課題を抱えている。

この部分は、一回二回で身につくものではないけれど、知っているか知らないかでは大きな差がでる。キーワードは「質問の仕方」と「観察力」。

一見ぼんやりとしていて、そのノウハウは属人的だと思われがちなコミニュケーションスキルだが、「考え方」と言う意味でははっきりしたセオリーはある。年明けから人が変わってしまうところへ、変わらざるを得ないところへ、コミニュケーションのスキルをあげるためのコツの話は必須だなと思うので、それを軸にスタートアップミーティングを組み立てたい。

 

コミニュケーションスキル研修を受けたいと言うお申込みも増えてきたが、なんと委員会や学校からも要望があるようになったので、この際どこでも頼まれたら行ってみたい。ただ、1回ではちょっと時間が足りない。数日たってから振り返るためにやはりトータル3回はセットでやりたいところでもある。

 

この冬休みはセミナーの中身や資料の再構築になりそうだ。

 

※ちょっと宣伝

ICT支援員の育成におけるコミニュケーションスキルにお困りの方はこちらまでご連絡いたまければご相談にのります。

info@pa-rana.com

 

リアルな支援員派遣とコーディネーターとしての役割

誰も褒めてはくれないけど、ちょっと自慢をします。

ある私立で支援員さんが派遣で入り始めました。

採用も私が最終決定して、それからずっと私が見てきて「五十嵐組」と言える人です。今までは当然のように困ったら私に連絡すればよかったし、たまに現場に顔を出すこともできました。しかし、今回は「派遣」契約なので、こちらが世話をすることができないということでした。(このへんが難しいので、ご存知ない方は少し調べてみてください。このあたりを理解していないと支援員派遣って本当に様々なので、私的にはここもカバーできる企画を立ち上げています。)

しかし、ここが問題なのです。通常派遣会社はそこの派遣先の仕事はきいていても、どんな設備でどんな運用なのかなど、具体的な情報はほとんど持ち合わせていません。派遣先で一から聞かなくてはならないのです。予想通り、入った時点で彼女にはなんの情報も与えられておらず、初日からLINEがばんばんきましたが、質問をされても私自身もよく知らない案件でしたから、これは困ったなと思いました。

なぜならこの学校では、教員研修も支援員案件もなかったので、私が関わることがなかったからです。(公立でももちろんこういうパターンはありますが、私立とは少し勝手が違います。この話はまた別のブログで。)

派遣会社っていうのは、登録されている人と一対一で話しをしますから、当然私の思惑は関係なく登録者に仕事を斡旋します。今回の案件もそんな感じでした。

しかし、支援員さんにとってはどの仕事も「ICT支援」と書いてありますから、今まで通りだと思いがちです。まさか同じ神奈川なのに私が現場に来ないとは思わなかったようです。

また、ほかの私立中高では、委託なので、私がちょくちょく入ってるんです。そうなると支援員さんへのサポートが違ってきます。手が足りなくても物理的に助けてはあげられないのです。

そこで、派遣会社に連絡をして、いままでのようにサポートできないのか?と聞いてみたところ、基本表立って動いてはダメ。でも、勤務時間内にこれまでのように、困ったら連絡うけてもらって、知恵を授けてもらえたら助かります〜と。ふーん、ちょっと微妙だけど私的にはラッキー。そして、運が良かったのは、導入にはうちの会社が窓口で動いていたことです。

 

そこで、まず支援員さんに現地の保守担当を聞いてみました。

当然県内ですから、思った通り知ってるCEさん、しかももう長くお付き合いのある方だったので、支援員さんとCEさんをつなぎました。

これで機器トラブルなどの時に話がしやすくなります。一応ここでも、CEさんにはこの人がどんなスキルがあってどういう人かを伝え、何か困るようなら私に連絡をくださいと言っておきました。

そして支援員さん側にも、基本技術的な一次的な質問は私に、CEさんに振っていいかどうか判断に迷ったら必ずこちらに聞いてもらうようにしておきました。

そのCEさんは、すぐに今週末に現地に行く用があるというので、支援員さんに会ったら簡単に機器の説明をしてくれるという話になりました。

 

次に、そのCEさんに、現在入っているシステムや、機器の構成などがわかる資料はあるか聞きました。(遠隔サポートのため)

すると、物によってはその方が絡んでいないものがいくつかありました。

そこの担当はだれか聞いてみると、これもまた知っている部署でしたので、今度はそこのリーダー的な方に電話をしました。すると担当は新しく入ったSEさんでした。次の週末にレクチャーしてもらえるという話を伝えたところ、それならその新人SEさんにも同席させようということになりました。

ただ、最初にも言った通り、私はあくまで表に立てません。同じ神奈川だとしても、コーディネーターが絡まない案件に、勝手に首を突っ込めないのです。でももう1人つなげたかったのは導入機器の営業さんでした。なので、これは、派遣会社側にお願いして、「窓口役の営業さんに今度支援員さんが入ったから、先生からお見積もりなどのご相談がたくさんありますので、連絡できるようにしてほしいと伝えてください」とお願いをしました。勝手に動くのはやめてほしい感があったので、そこは仁義を通してみたところ快諾してもらえました。

あとは待つだけでしたが、2番目につなげたSEのリーダーさんが、私もCCに入れて、担当営業さんにこの話を伝えてくださったので、ちょっと焦りましたが、返信に派遣元も入れて、「正式には後ほど派遣元からご連絡があります」と添えてお礼を書きました。

他にも、事前に彼女が触ったことのない校務システムも手伝うことが明記されていたので、そのメーカーの営業さんにコンタクトをとって、サポートと繋げてもらいました。運よく先日の展示会で実機を展示していたので、彼女を連れて行き、画面を見せてもらって操作するところを体験してもらえました。見たことないシステムをいきなり触るのは難しいですから、これで一安心。

そして、今朝営業さんからも直にご連絡いただき、自分も担当を引き継いだばかりだからみておきたいと、同じく週末に訪問が決まりました。

メールの宛先を見ると、関係者が全て入っており、共通の意識としてこの週末のスタートアップをコーディネートすることができました。

これで、通常自治体の支援員委託なら事前に私がやっておく、営業、SE、CE、メーカーと支援員さんのネットワークの構築ができたわけです。あとは、もう少しいくつかのメーカーも掘り出してつなげていきますが、私の仕事のひとつはこの「つなげる」ところです。

もちろんそのためにこれまで色んな人とうまく仲良くやってきたし、この担当営業さんもよくよくみたら別案件でご一緒したことがある方でした。コーディネーターって、こういうことだと思っています。かっこよく表に立つのはコーディネーターじゃない。でも、このために、日頃からいろんな分野の人とつながっていく。色んな所に貢献できるように学ぶことで、自分も恩恵を受けられる関係を作る。

この先も、多分私はこの私立の支援に表立って出ることはないでしょう。もちろんこの支援員さんがとびきり優秀なので、安心してつなげるだけで任せられるのですが。

一度うまく繋げれば、あとは回るはずです。しかし、時々繋がりが悪くなったり、途切れたり、新しい人が関係してきたりするでしょう。そういうときに、そっとまた裏からうまく繋げていく。私の存在自体はうまく回れば回るほど消えていきます。でもそれが本当の存在意義であると考えています。

プログラミングとICT支援

ちょっと最近刺激的なことが多いので、興奮気味ですが、私の頭の整理をしているので、今更幼稚な話をしているかもしれませんが、そう思ってください。何かがわかるってすごいってことです。

今夜はビスケットファシリテーター交流会に参加してきました。

ビスケットが他のものと違う所をここ最近明確に理解してきたので、自分の頭でちゃんと噛み砕いて、このしくみをやはり伝えたい。

ビスケットはすごい。それは間違いないです。

なぜかというと、「他と仕組みが違う」から。

と、一言で言っても伝わらないかもしれませんが、たったひとつのメガネが全てを受け止めることは、裏側でどんなことが行われているか、考えるだけで、面白くて、だから電車の中でぽちぽち作るのです。(博士、まだうまく言えないのですみません)

「間違えない」でスイミーの事例は出しましたが、あれはあくまで教科に寄せた事例であってあれが「ビスケット」のすべてではないことをもう少し説明したいと切に願います。

そして、また、先日のJAET川崎大会で小学校3年生にどうやってビスケットを取り入れたか、当日の発表だけでなく、一番初めからそこまでの道のりを発表したいと改めて強く感じました。学校での裏舞台を包み隠さず話しても問題ないと思うくらい素晴らしい取り組みでした。

ああいうことにも使える、つまり組むというより、使うという考え方は、他のプログラミング環境でもありますが、どれもができるものばかりではありません。よく、プログラミングの様々なコンテンツは、ドリルタイプと自分で作れるタイプなんて区分けをされていますが、そこじゃないぞ!と今思っています。

自分がもっと咀嚼して、自分の手足により近くなったなら、もっと先生にも寄り添いながら、しかもコンピューティングを説明できるような体感できるようなそんな使い方ができるんじゃないかなとおぼろげながら感じています。私は支援する立場ですから、どれを推すとかできません。その先生がやりたいと思うことを、形にするために手助けをする立場です。だからどんなものが来ても使い方は理解して、そのコンテンツが最大限に生かしてもらえるように知らなくてはいけないと思っています。でも、ここから先、教育現場に携わるなら、わからなきゃいけないことがあると感じるのです。今日も会話をした方の中に、「ビスケットを2〜3回学校でやったことある」という人がいましたが、これだけでプログラミング教育について説明や講演をするのはちょっとまって欲しいとも感じました。私自身ももちろんまだまだ知見が足りないと言われてしまうでしょうけれど、やらなきゃならないなら、理解したいのです。また、ビスケットをやるなら是非ともファシリテーター講習は受けて欲しい。せめて受けたならそのスタイルをまずはそのまま受け継いでやって見て欲しいと思いました。ツールを正しく使うためには、何を教育が目指そうとしているのかを少しずつでもつまづきながらでも知ろうという意識がなくちゃいけない。何度も自分に確認をするけれど、私は常に中立であるために、例えば授業支援システムであれば、それぞれの欠点も知っている必要があるし、バージョンでも変わっていくそれらを盲目に推すようなことはしません。クラウドサービスもそうだし、様々な似たような機能のあるアプリも。

ICT支援員は大量の知識を蓄え続けながら、それらを比較分析し、今ある環境、先生、児童生徒、色んなファクターを加味しながら、それぞれの素材を活かすシーンを想像できる必要があると考えます。そこには、やはり「ICT基礎体力」が必要なのです。ICTの基礎体力っていうのは本当にざっくり言うなら、コンピュータの性質を知っていることに他なりません。まさにコンピュータの得意なことと苦手なことを理解し、人間がやるほうが意味のあることとICTでやるほうに意味があることを常に化学的に考えなくては説得力がないし、そのうちほころびが出ます。

今のプログラミング教育の目的や見ている未来や様々な人の思いが交差する中で、一般の方(つまりこの業界には疎い友達)から聞く話なども同じくフラットに聞いていくたびに、ちょっとずつちょっとずつ腑に落ちていくことがあるのです。まだ上手にいい切れないけれど。

運良く折しも今scratchの体験を絡めて、プログラミング教育について先生方にその意義や目指す未来を話していただく研修を実施しています。その話も聞くたびに私には「あ!そうか!」という発見とともに、自分の頭の中でシナプスがピキピキっと手を繋ぐ感覚をくれました。そういうことを、もっと子供達が体験するにはどうしたらいいのだろう。この「わかる」感じ(正解とか不正解じゃなく、自分の中でパズルがつながる感触)の気持ち良さを体感して欲しいと願うばかりです。

これから先、私たちICT支援をする人間はプログラミングに関わらざるを得ないでしょう。それはもうとっくに感じていたから、いち早く動き始めたのですから。でも、そのほとんどがまだコンテンツの使い方にすぎない。いや、見たことあるだけで、支援員でも実際使ってみた人があまりに少ないのは本当に驚きます。

ICT支援員の問題は根深い。悩んでいることは皆同じなのも見えている。そして突破口は必ずあります。ちょっとずつ自分のやりたいことも、明確になってきたと嬉しくなるのです。

予定外の出費も計算に入れておこう

タブレットおよびPCの一人一台を実現するなら、堅牢性は考慮しないとほんと壊れるったらありゃしない。ものを丁寧に使うことを教わってる子供がいかに少ないか。家庭教育の重要性は勉強ではなくて、そういう部分だと思う時がある。学校で急に教えても、そもそもものを放り投げる、不安定なところに置く、乱暴に置く、踏む、蹴るなど近頃の子供の様子を見ていると、とにかく「雑」だ。子供のうちはボディコントロールができないから、ものを落としたり、そっと扱うのは難易度が高いけれど、ある程度の教育はできるし、親の所作の真似をする。

そうでないと、今の扱いを見ていると象が踏んでも壊れないタブレットでも作ってもらわないととてもじゃない。

ごく普通のタブレットを導入するなら、せめて柔らかい専用ケースをつけるなどはもう必須だろうと思う。

現在自分の管轄内だけでも多くのタブレットが使われているが、一人一台配布している学校もあれば、学校配備で、1校40台のところや、もっとたくさんあるところもある。学校に配備されたタブレットは子供達が片付けてくれることがあるけれど、優しく持ってきてくれる。支援員のいるところは常に支援員が綺麗にしているので、子供は真似をして綺麗に入れようとしてくれる。

私のところでは支援員さんには学校の機器を気づいたら綺麗にしておくことをお願いしている。

それは保守の意味もあり、掃除一つで故障を防止したり、掃除することで異常に気づくのも早くなるからだ。それにいつも綺麗になっていると使う人も汚くし辛くなり、相乗効果で綺麗が続く。

個人的に支援員に求めるスキルとして、この細やかさがある。故障が少なければ経済的な損害が少ない。

発見が早ければ修理も軽く済む。ケーブルやその他の周辺機器が紛失したり破損していれば、使いたいときに慌てることになる。時間の損失も経済的な損失と同じくらい大きな問題として防止したい。

私の考え方はとにかくお客様に実質的に損をさせないことで、綺麗になってると気持ちがいいとか、そういった気持ちなどの部分はこれらができれば自ずと後からついてくるボーナスだ。

 


それでも、毎日たくさんのクラスで使われるようになると、新品のタブレットでも故障は出やすい。今の故障がそこそこ少ないのは、現在「文教モデル」と呼ばれる、カバーをつけなくても落下に強く防水防塵タイプを使用しているからかもしれない。軽く、小さいので学校の狭い机でも邪魔になりづらい。タブレットの難点は、持ち歩くのに小さい方がいいものの、なにかを作成する活動の場合は画面の小ささが不便に感じることなのだが、それは必要に応じてモニタを繋げて使うという考え方は合理的だなと感じる。(以下の記事も合わせてご覧いただきたい)

https://www.kknews.co.jp/post_ict/20181001_5b

タブレット一人一台環境を授業で日常的に使うことを想定するなら、代替機の確保も必須だ。それも1〜2台ではなく、保守や保険に入っているとしても、学校規模にもよるが、5台以上はないとその場で差し替えられない。

壊れやすい部分ナンバーワンはキーボードの接触部分や、パソコンならヒンジのところ。開け閉めが頻繁なので、痛みは早い。

どんな形でも外付けキーボードが必要になるだろうから、何年も持たせるならそこの破損は想定しておく必要がある。

いずれキーボードは要らなくなるとかいろんな説はあるけれど、社会に出たら世の中会社はまだまだ学校よりはるかに遅れていて、古いデスクトップやノートでしのいでいるところなんてザラだ。

子供が全員最新鋭の機器を配備したかっこいい企業に務めるわけじゃない。キーボードはそうそうなくならないだろう。望んだ仕事場がその配備より他のことに注力していることだって踏まえるなら、「将来どんな職業についたとしても」という学習指導要領にある部分を考えれば、多様なインターフェースに対応できる基礎体力は必要だと思う。

キーボードに関して、Bluetoothはどうかといえば、これも意外と面倒で、充電が必要なものは子供はうっかり忘れがちだ。タブレット自体も個別に持たせると充電忘れが頻発するので、各机に電源がほしいくらいである。

USB接続の外付けキーボードの方がよほど良いかも知れない。iPadならLightningで接続できるものもある。なんにせよすぐ交換できるものがあることがオススメだ。

また、最近はタッチペンがついたモデルがあるが、書き味が良いものはペン先の交換が必要な場合がある。そういった交換が必要な部分はあらかじめ見越して置いた方が良い。

iPadならApple Pencilは替え芯はないけど、本体がその分高価だから比較しづらいし充電もBluetooth接続もいる。

ちなみに、前述のように、タブレットは落下に強いモデルも出ているが、うっかり落とした場合なので、高さは70〜80センチの机から間違って落としたくらいのダメージで、放り投げたり叩きつけたらその限りではない。水にも強いというのも、お風呂などお湯に沈めたらこれもまた保証の限りではないものが多いので、持ち帰ってお風呂でタブレットなんてやめてほしい。

 

今回はタブレット本体の機械的な部分の話だが、続きとして、今度は保守や安定した運用についての話も書きたい。

プログラミング研修の反応の実際

学校でプログラミング教育は広がりを見せてはいるものの、多角形だって回転角が三角形からじゃあ五角形は?と言うと閃かない先生が意外とたくさんいます。そして、研修には参加されても、研修後、居残りで授業でこうやってみたいのだが…などの質問などが出て盛り上がり始めると、アレルギー反応を見せて「あー私にはむり!」と吐き捨てるように離脱するかたもいるのが事実です。これはICT活用研修でもあります。

自分の研修の話をよく書きますが、何回かに1度は数名やる気なさそうに帰る人はいます。

すごい先生方はどうやっているのだろう。私はまだまだ隅々まで心が配れていないのだと思います。

昨日もパソコンが苦手そうな先生が数名おられましたが、そのうち一人は研修が終わり、部屋を出る際に「お疲れ様でした」と言いましたが、目も合わせず上記の発言をしてぷいっと出て行かれました。

そしてもう一人は、居残って自分で教材を作ろうとしていた先生の画面を私と一緒に覗き込みながら、「プログラムはよくわからないけど、これできたらいいわね」とうなずき、「ありがとうございました。ぜひ、もっと教えにきてアイデアを分けてください。今日のお話に出たアイデア集などは出ていないのですか?」とお礼を言われた。

実はこの二人、研修に遅れてきたので出だしに乗れず、フォローしないといけなかったのですが、むり!と言った先生は最初からついて来ようとしている感じはありませんでした。不機嫌な顔で、となりの先生に聞くでもなく、黙っていたので、説明はしましたが、三角を書いたところまでで手は止まってしまいました。そしてもう一方の先生はとなりの若い男性の先生の様子を見て、「●●さん、どこからやればいいの?」などと質問して、追いついてきました。

どんなに準備していっても、必ず「○○先生はできても私はむり!」とか「あとは若い人に任せます〜」とか、そう言うセリフは聞くことが何度もあります。頑張って準備をしても届かない。そんな時は常にアプローチを考え直していますが、未だ時々こう言う反応があります。

今回は教材としての作り方や、ご指導される際につまづく部分をカバーする方法まで話や資料をつけましたが、まるっとそのまま出せば使える教材セットを作っても、すぐやってみる方やそうでない方反応は様々です。

それは先生ごとにやりたい授業が異なるからなのだろうとも思います。

「この単元はこのタイミングでこのプログラミングを取り入れてください」という具体例と委員会や校長先生からの強制がないとすべての先生がプログラミングを授業に取り入れることはやらないでしょう。でも必須なのであれば、どれでもいいから得意な教科からひとつでも取り入れられそうなネタをと思い、scratchもビスケットも多方面の使い方を日々考えています。

 

機嫌が悪かった先生は、まだ30後半くらいの方でした。今日もっと何か別のお悩みがあったのかもしれません。遅れても来てくださったのに、来てよかったと思っていただけなくて残念でした。ただ、希望者居残りのMESHまで参加しておられたので、多分やらなきゃいけない不安はあるのかもしれないと感じました。

本当はそういう方がほかの先生に助けを求めたり、若い得意な先生が、授業の部分でベテランからのアドバイスを仰いだりすることが必要で、プログラミング教材のアイデアは、作ってみたらどこかみんなで使えるところに置いたり、見せ合ったりして、「ここはもっとこうだと使いやすい」とか、「ここでうまくいかなかった」などの意見交換をしてブラッシュアップしましょう、とお話をしたところ、「作ったらお披露目してほかの先生にもみてもらおう」という話にはなりました。

一方的に教えるだけでは、楽しかったでおしまい。その先学校で共有する方法や、授業でさっと始められるような準備の工夫もお話しましたが、それはその学校に入っている環境をみて、例えばこのフォルダに置いて、開かせれば早いとか、授業支援システムで配布して自動起動にするとか。ただし、本当のことを言えば、子供は何回かやらせてみれば、ほとんどの子がファイル操作もソフト起動からログインなどもできてしまうので、やらせないよりやらせた方がいいかなあとは思っています。45分をきっちり使い切りたいために、こどもの操作による時間のロスは省きたい場合は別です。授業を止めない工夫は、そばにいなくても支援できるということも改めて感じました。

そういうアイデア集が欲しいと言われたものの、欲しいのは本だそうなので、まだまだ学校ではネットが不自由だからなのか、紙などのマニュアルがニーズ高いです。

ここへ来て、支援経験のある、教員研修専門で長くやってきた自分だからこそ、やらなきゃいけない研修の具体的なコンテンツというものが見つかったように感じた夏の終わりでした。

ICT支援員はこんなことをしているよ

タイトルを読んで業務一覧を期待されるかと思うので、言い訳程度に書いておく。

大きく分けて4つ。

授業支援・校務支援・研修会・環境整備支援だ。まず先頭に書かれる「授業支援」が何を意味するのか、伝わっていないことが多い。

実際に授業の時間に立ち会って、子供達に機器の操作を教えたり、不慮のトラブルに備えて先生が困らないよう、授業を止めないように助ける。これはある意味もう当たり前。それよりも喜ばれる授業支援は、大まかにいうと「教材作成」「教材配布」「機器運搬、準備」「機器片付け」「データ整理、印刷」この部分だ。

では「校務支援」は?校務支援システムが入っていると、その支援だと思われがちだが、そのシステムは一般的でなく、しかもその学校に合わせてカスタマイズすらされているので、その学校を知らなければ支援できない。それでもニーズはある。特に年度始めと学期末。メーカーのヘルプデスクがあるとしても、直にパソコンを見ながら聞きたいのだ。もちろんそこはメーカーがどこまで我々に情報提供してくれるかにも関わってくるが。

それ以外でも学校の校務PCはWindowsがかなり多いので、校務支援にWord、ExcelPowerPointは必須だ。特に中学校はExcel職人が求められることが非常に多い。Officeの中級以上のスキルは絶対的に必要。マクロは対応しないことにしていたが、今は少し考え方を変え始めている。ていうかやらざるを得ない状況にあるのは否めない。他にもさまざまな学校独自のソフトを知らないと対応できないので、知らないソフトへの順応力も試される。あとはセキュリティの意識の高さも大切だ。なぜなら「学校ホームページ更新作業」「学校調査」がほぼ必須だからだ。

あとは、研修と環境整備。ここが肝だ。

導入があった時、それを先生方にうまく伝える研修ができれば、スタートからスムーズに運用が始められる。日常的にも使い方を教えながら授業に合わせた活用を提案できるかは大きい。

 

そして、実は最も重要で喜ばれる、じわじわと染み込んで手放せなくなるのは「環境整備支援」だ。学校に入る機器は、導入時点ですぐに使いやすくしてあることはまずない。そこに我々のようなコーディネータが付いていたとしても、学校によって機器の管理の方針が微妙に異なるからだ。本音を言えば、そこまで考えて提供したい!!しかし時間とお金が間に合わなかったりするのが現実。そこで現地に入る支援員がそれを担うのだ。使いやすい整理整頓、日々の手入れ、壊れた時の一次切り分け、サポートへの連絡。具体的に言えば、学校で管理しやすいようにシールを貼ったり名前をつけたり、台帳や貸出カードを作ったり。こまかい周辺機器やコード類がどこかにいってしまわないようにまとめて使いやすく配置したり。

以前ちょっと書いたことがあるが、LANケーブル一つでも、ハブ側とPC側で頭に違う色のカラーのビニールテープをつけておくだけでも、席移動時の差し替えによるループは激減する。

そんな工夫がアイデアが、それを実行する機動力が我々には必要だ。アイデアだけでなく、実際にやるのだ。それをやる暇が先生にはないのだから。他にも仕事は山ほどある。

 

それでも支援員について話してと言われると、構えてしまう。なのであえて、文章にしてみれば少しは頭の中が整理できるかなと思って書いてみた。なぜならぼんやりした部分が多すぎるからかもしれない。思うことが、日々少しずつ変わるのは、自分が対応する自治体が多く、それぞれが日々違う考え方で動いているからで、そこに行く支援員は勤務先の学校の幸せを願って働くのだから、支援する学校が変わればサポートする側の頭も切り替えることになるのは当たり前で、やむを得ないのか?と言うことを考えている。

スタンダードがあるようで、しかし現場によって、自治体差、校種の差、地域差、そして個人差…実はそこに入っている販売店にも差があり、そんなことに関わらず支援に入る我々には、それはかなり上下左右にマージンがなくてはいけない。同じ自治体の案件がずーーーーっと続くなら、そこに特化した支援になっていくので、それが正義になっていくけれど、必ずしもそれが本当に良い結果を生んでいるとは言えないのが自分の印象だ。これは、それまで閉鎖的な状態で支援が続いてきた地域を引き取ったりした場合に顕著に見られる。

学校単位でも、こだわりが強かったり、異様に心配性だったり、または無闇に派手にやりたい人が方針を決めている場合、しばしば私には納得できない要求がくる。しかし現場はそれを求めているのだからと、支援員はそこでの信頼を勝ち取るために必死に対応しようとする。そもそもが「支援します」なんていう我々に、初めて出会う学校の対応はほぼウイルス扱いだと言った人がいた。また「一人アウェー」だと言った人もいた。そのくらい我々は「異物」だ。現場は、「ICT支援」ときいて、誰一人ググったりはしない。自分の中の「ICT支援」を考えるのだ。なるべく都合の良い「ICT支援」だ。

そしてそれに応えてもらえないと、がっかりする。ある程度情報担当の先生が完全に管理している場合、そりゃあ他所からきた「専門家」なんて煙たいだろうから、冷たくされたりすることだってある。いや、それ以前に勝手にすごいエンジニアみたいな人だと思って、普段困り果てているパソコンの基本操作なんてきくのは恥ずかしいとき思い、話しかけもしない。高度なICTに決まってるから、私には関係ないと視界の外にやる。そんな現場にひとりぼっちで放り込まれ、そこからスタートだ。支援員はこんなことができますというパンフレットを一度作ったが、あれは改善の余地がありありだと思っている。伝わっていない。知られていない。だからみんな勝手な想像で期待したり失望したり大喜びしたり怒ったりするのだ。プレゼンで導入に持ち込んだ自治体は、今モーレツに役立っている。委員会には何人もの校長先生や現場の先生からお礼のメッセージが届いている。それでもまだ現場には隅々まで伝わりきっていない。まだまだ努力が足りないと反省ばかりだ。

ちなみに「納得できない要求」それは、それをやってしまうと、実は先々を考えると周りの先生方には、そして、支援員本人にもなにも良いことがないものを指す。ICTを使うために授業や生徒指導がよそになったり、逆に機器を全く使わず効果なしと判断され、次への予算がどんどん取りにくくなるケースもある。もしくは到底支援員の導入目的とは外れた、ヘビーな作業、高度な作業、無関係な作業などだ。しかし、それをどう対応すべきなのか、冷静に判断できる支援員は少ないだろう。かつての自分もそうだった。何でも屋だった。本当はそれが求められているのかもしれない。けれどそれでは何も変わらない。いずれ支援員も学校の忙しい泥沼に飲み込まれて動けなくなってしまうのだ。(本人は活躍してるつもりになってしまうからタチが悪い)だからこそ、今、支援員さんに、そういう時の逃げ場やうまくブレーキをかける方法や、相手に安心感を与える言い方を教えたり、代弁したりするのが私のような中間に立つ人間の仕事だと強く思う。もちろん、支援員さん本人が圧倒的に信頼を得てからでないと、突っ走る人を柔らかく受け止めながらブレーキをかけ、少しだけ方向を変えるのはとても難しい。だから、現場に立つ人のコミュニケーションスキルをしっかり育てる必要がある。なるべく短期間に信頼を勝ち取り、対話ができる立場にならないと、ICTは「強い」管理職や委員会、もしくは情報担当(これは中学の場合技術の先生)の方針で方向性が強引に固められてしまい、先生方に選択肢がなくなっていくからだ。とはいえ、それだって、頭が変わればガラッとひっくり返る。禁止方向でもイケイケ方向でも先生方の本来の「授業」の目的の阻害になることが多い。本当にさまざまで一つ一つの例を話さないとうまく伝わらないかもしれない。

「授業」は大切。私たち外部の人間はその聖域に踏み込むことは中々に許されないと思っている。しかし、だからといって、それにこだわりすぎて、ICTを不要に制限するのはおすすめできない。その安全性と注意点を話すには、たくさんの知識が必要だが、それはICTの基礎体力でもあり、本当は先生のみならず子供達にこそ伝えたいスキルだと思う。モラルという言葉ではなく、情報技術という視点で、できること、できないこと、できるかもしれないことを知って、危険を察知したり、予防すれば、ICTは魔法のように私たちを幸せにしてくれるだろう。

そう、本当は私たちは、そう言ったことを日々先生方に伝えていきたいのだ。

いずれ子供の時からICTを理解し、思うように動かして、我々の支援など不要になる時が来るのか。というと、実は私たちの仕事はそれだけではない。いや、むしろそれ以外の所が爆発的に多いことも、我々を投入しようと目標値を掲げた文科省の方にはちゃんとわかってほしいと思うのだ。その部分はICTに限らないことなのだけど、それだって、本当は子供達に伝えて身につけさせられることなのだ。

私たちの得られる情報をもっともっと集めて発信したい。業者や自治体の垣根を超えて、支援員の知見を集めてできることがあると感じている。現場の声をたくさん聞き、また、研究者と言われる名のある先生のお話を聞き、そして子供達と触れ合い、時には学校をサポートする保護者にも関わる私たちだから知っていることがこんなにあるのに、それを捨ててしまっていいのだろうかと思うのだ。どんな形で発信すればいいのだろう。いつものように、思いつきでこの冬一度やってみようか。ああ、、すこし頭が整理できたかな。