今、現場を支える人間は何を考えるべきなのか?

全国の学校が休校要請にどう対応したか、私たちICT支援をするものにとっても大きな出来事でした。

 

休みになってしまった学校で、じゃあこれからオンラインだ!と言っても、これまで連絡は紙のお便り、電話、あって緊急メールくらいだった学校は、そこにいないこどもたちにどうやってアカウント登録の仕方を伝えるのかなと疑問に思った。

以前学校調査アンケートをGoogle formでやろうとしたときに、まずお便りでQRコード配ろうとした。そこでの問題点は以下の通り。
⚫︎学校にアカウントがないので、作らなくてはならなかった。
⚫︎保護者がQRコードの読み取りかたを知らなかった。
⚫︎そもそもお便りが届かなかった。
⚫︎今までと違ったこと自体に戸惑って提出に時間がかかった。
など。
⚫︎サーバー入れ替えでフィルタリングソフトの設定をかえてしまい、これまでクラウドNGにしてなかったのに、特に根拠もなくNG設定にしてしまった。
Google formがクラウドだという認識があったはずなのに、だ。
こんなこともある。ICT支援員さんからの連絡ですぐに修正が入りその日のうちに改善した。

次にこれらを回避するために、

⚫︎緊急メールにリンクをつけて送り、改善した。

それでも100%は達成できなかった。リンクを押しちゃダメみたいな抵抗感があったのか?もしかしてGoogle formみたいなものをやったことがなくてできなかったのか?
そこはまだ調査できていない。

意外だったのは、学校の管理職が、「やっぱりだめじゃないか!やめる!」とはならなかったことだ。
嬉しかったし、まだ来年も続けるために改善策を検討中だ。

さて、今回の大規模な休校で周りの保護者の反応は様々。
学校が休みになって困っている保護者は自ら問い合わせてくるけれど、多くが目的は子供の預かり場所だろう。

すごく憤慨している保護者もいるのを見ると、いかに学校が社会的に「保育所」としての機能を強くしてきているか感じる。

最近学校って保育園みたいだなと思っていたのでやはりそうなんだなと確信した。

 

逆に休みでも高学年だと、通常運転で保護者は仕事に出かけているかもしれない。
親と同居していて、見てくれる家族がいる場合はあまり困っていない感もある。
「勉強が!!」という反応も、受験が終わった今なので、そこまで聞かない。
卒業式が流れたりした場合はかなり感情的な部分でTwitterなどに悲しみを書く人がいて、ファボやリツイートが多い。

自分も、無料になったコンテンツをシェアしたけど、今考えると、子どもは学校が休みになって悲しんで勉強したかった…と涙してるか?というと「やったー!やすみだー」という気分だと、興味なしかも。
盛り上がるのは「学ばせたい」先生の方だけではないか?
なんだかそれぞれがバラバラの方向を向いているなあと感じる。

「暇」になったんだということに気付いていないから、何もしないでイライラする。どうしようもないことをTwitterでガーガー叫んでも国は動かない。動いたとしても個人の満足悪対応など、あるわけない。

それなら、できた時間を使おう!と頭を切り替えていきたい。

 

4月にこれが落ち着くなんて保証はないけれど、子どもたちや保護者に、アカウントを「学校から」発行するには、事前にサーバーへの設定が必要になるし、その後の運用は、専任の管理者がいないと大変難しくなる。※普段自分でGoogleからGmailアカウント作ったりするのとは違うので注意。

私の子供の頃に比べて、学校からの指示というものの効力は強くない。良し悪しにかかわらず、「やんわり」が多くなったと実感する。
「子供にアカウントを付与します」
この通知を出すだけで、とてもたくさんの問題が発生するのはすでにやっている先生から伺っている。

子どもはゲームでもやっているから技術的にはできるはず、と思うだろうけど、ゲーム機の設定は保護者がやっていて、子供には勝手にやらせないとしたら、未経験になる。低学年は特に。
そして、家でスマホやゲーム機を教育方針として禁止しているところもある。

固定電話すらおかなくなってきた若い世代の自宅にWi-Fiなんてあるのか?

 

こういうバラバラな状況だから、国から一律にタブレットを配布すると宣言することで、最初の一歩を踏み出すことを促せるのかなと改めて思った。そう考えると、やはりキーポイントはアカウントだ。

アカウントってなんだ?という状態で、オンライン学習とか、遠隔授業とか、反転学習とか話題になるものが良し悪しにかかわらずスルーされてきた上に新しい学び以前に理由のないルールが山ほどあるような学校では、(地方によって個別のルールがあったり、多くが慣例になってるだけだったりするが、多分全国で様々なそれがある)そうでもしないと進まないだろう。

そして、学校がやるための後ろ盾はできたとして、実際に手を動かしてみたことがある人はいるか?口だけでいうのとは違う。
各学校単位で、多くの作業や手順を考えたり、各方面へ配慮する事態をどうやって乗り越えるのか?

こういう時に経験やアイデアを持っているのは、すでにやってみたい自治体、学校、そして、そこを支援したICT支援員さんたちだったりする。
ICT支援員さんは現在スキル差が大きすぎて、手放しで期待することはできない。
しかし、これまでも学校が困ったなぁとやりたいことができない時に、いいアイデアと行動力を発揮してきた人たちが全国にたくさんいる。

これはICT支援員さんたちへ、この仕事をやってみたいと思う人へのメッセージのつもりだ。

ICT支援員さんは何でも屋にしてはいけない。けれどそれは雇う側、扱う業者側に理解してほしいこと。
法的に、セキュリティ的になど、人手が欲しいだけで、やってはいけないことまで押し付けるなという意味だ。必要だから法がある。
プロフェッショナルとして学校の事情も保護者の事情も知っていれば、ICTの知識や調べる力が威力を発揮する。そして肝になるのは「どれは共有して良い情報か?」を見極める力だろう。日本を変えるために教育を変えるなら、トップダウンだけでは無理だ。すでにアカウント配布を経験した人たちの知見、技術面だけでなく、トラブル事例もあつめて、なるべくあちこちで同じつまづきをしない方法が必要ではないのか。
そして新たなトラブルに迅速に対応する体制が必要ではないか。

だから私たちは、先生の肩代わりも、事務員も、セキュリティ技術者もやらないので、学校にはアカウント管理やセキュリティを担う担当者が専任で必要で、機器やサーバー、ネットワークに関しても安心して頼れる保守があって、その部分を任せられる状態で、はじめてICT支援員さんは、現場で学校に関する法令、教育技術だけでなく、担当するその学校のもつICT的な機能とそれに関するできること、やって良いことを日々たくさん学び、ICTのできることをマッチングさせてアイデアを出せると思う。

これまで、ICT支援員さんは、保守の不在、管理者の不在により、やってはいけないことまで、やらなくてはならなかった、でも、できてしまうと麻薬のようにはまっていってしまっていた。

ICT支援員さんは3年以上やれば、かなりICT操作の経験があってほしいし教育ICTの新しい技術を学んでいてほしい。先生方のご苦労を直接見ているのだから、学校から見てどんなことが負担になるのかなども、先生方と、私たち現場に直接足をつけて立っている人たちで一度議論してみたい。
自分が国のために働きたいと思うのは政府のためじゃない。自分がここに住んできたことへの恩返しでもあるし、自分の子供や周りの人たちがこれからも自分の国を好きでいてほしいと思うからだ。