ICT支援員であるために必要な条件

ICT支援員をやっている人はずいぶん増えてきたらしい。
3000人くらいにはなったのかな?(のべだろうけれど)しかし、時々耳にするのは「うちの支援員使えない」かと思えば「絶対手放せない」の二極化だ。
じゃあ3000人のうち何人は手放せないのかなと思った。
 
ではICT支援員さんの仕事って実は何が一番手放せなくなるものなのか?
授業を支援する・校務を支援する…って絶対的に「黒子」に徹する必要があると思っている。先生の真似事をしたり、先生の作業を分担するんじゃなくて、これまでの経験から言うと、ICTを使う時のアイデアを出す支援をするのが結果一番喜ばれる。特にプログラミングが出てきてからは顕著に「そのアイデアが欲しいんです」という感想をいただくことが増えてきた。でも、そのまま使える実現可能なアイデアをひねり出すにはまず先生の仕事のなかで分担してもらえる部分をやってみる必要はある。
 
先生の作業は膨大だから、自分がやってあげた方が速く、そして先生がやる必要がない部分を担うのがスタートにはうってつけだろう。まずここから自分の立ち位置を確保すると良いと思う。
それはICT自体の操作じゃなくてもいい。例えば学校で管理している機器にわかりやすいシールを貼ったり、管理簿を作ったりするところからなら、多くの人ができるだろう。
面倒くさい、やりたくないことを肩代わりすることで、その部分の担当になれる。
 
そして実際にこれまで見てきた多くの支援員さんたちの支援内容からすると、必要なスキルは少なくともOfficeを触り倒しておくことだろう。Microsoftじゃないとか、GsuiteだったりiPadMacだからiWork'sだったりしても、はっきり言って、Officeのどれかを触り倒してマスターしている人にとっては、どこのメーカーだろうが基本は同じなのだ。
 
でも基本がない人にはメーカーの違いは大きな壁になる。ICT支援員さんになるなら、まずそこはクリアしてほしい。これは経験で言うならお絵かきソフト系も同じだ。どれかを徹底的にマスターしたひとは他のが来ても触れる。支援員の仕事は果てしないようで、どれかをとことんマスターした人間においては、実はそこまで広くない。
Office系・画像加工系・動画加工系・HP作成系・授業支援系…最近は音楽作成系も出てきた。
ソフトの使い方はこのあたりで好きな使いやすいものを触り倒してほしいが、まずは何よりOffice系だ。
 
学校の先生のお仕事のうち、特に「授業」と「生徒指導」に関しては圧倒的に先生の方が経験や知識があるのだから、そこと同じことをやろうとしても、そしてもしできたとしても「ICT支援員」でいる必要性がなく、先生代理になってしまう。それをやりたいなら、先生は不足している。いっそ先生になればいい。でも「ICT支援員さん」として雇われたなら、そうじゃなく、我々の方にアドバンテージがある部分であるはずの「ICTの活用」で、手伝いをしながらアイデアをひねり出していく。そのアイデアを個々の先生に合わせて提供するうちに広がって、先生方の本当にほしい形にアレンジされながら、スタンダードができていくのが理想だ。
 
ただ、そこに至るもっと前段階の話をするなら、配備の際に方針がはっきりしていないとこれは支援員さんにとってものすごく高いハードルになる。
方針もなく、でも数や環境が整っていないICTは、「晩御飯何がいい?」「なんでもいい~」と言われた時のあの絶望感に似ている。委員会の皆様、学校で支援員さん含めICT機器を配備する方々には、少なくともこれらの機械が全部稼働したときにどういう運用になるかがわかる人に相談をしてほしい。そういう組織とサービスがちゃんとあればいいのになと思う次第だ。