ICT支援員はこんなことをしているよ

タイトルを読んで業務一覧を期待されるかと思うので、言い訳程度に書いておく。

大きく分けて4つ。

授業支援・校務支援・研修会・環境整備支援だ。まず先頭に書かれる「授業支援」が何を意味するのか、伝わっていないことが多い。

実際に授業の時間に立ち会って、子供達に機器の操作を教えたり、不慮のトラブルに備えて先生が困らないよう、授業を止めないように助ける。これはある意味もう当たり前。それよりも喜ばれる授業支援は、大まかにいうと「教材作成」「教材配布」「機器運搬、準備」「機器片付け」「データ整理、印刷」この部分だ。

では「校務支援」は?校務支援システムが入っていると、その支援だと思われがちだが、そのシステムは一般的でなく、しかもその学校に合わせてカスタマイズすらされているので、その学校を知らなければ支援できない。それでもニーズはある。特に年度始めと学期末。メーカーのヘルプデスクがあるとしても、直にパソコンを見ながら聞きたいのだ。もちろんそこはメーカーがどこまで我々に情報提供してくれるかにも関わってくるが。

それ以外でも学校の校務PCはWindowsがかなり多いので、校務支援にWord、ExcelPowerPointは必須だ。特に中学校はExcel職人が求められることが非常に多い。Officeの中級以上のスキルは絶対的に必要。マクロは対応しないことにしていたが、今は少し考え方を変え始めている。ていうかやらざるを得ない状況にあるのは否めない。他にもさまざまな学校独自のソフトを知らないと対応できないので、知らないソフトへの順応力も試される。あとはセキュリティの意識の高さも大切だ。なぜなら「学校ホームページ更新作業」「学校調査」がほぼ必須だからだ。

あとは、研修と環境整備。ここが肝だ。

導入があった時、それを先生方にうまく伝える研修ができれば、スタートからスムーズに運用が始められる。日常的にも使い方を教えながら授業に合わせた活用を提案できるかは大きい。

 

そして、実は最も重要で喜ばれる、じわじわと染み込んで手放せなくなるのは「環境整備支援」だ。学校に入る機器は、導入時点ですぐに使いやすくしてあることはまずない。そこに我々のようなコーディネータが付いていたとしても、学校によって機器の管理の方針が微妙に異なるからだ。本音を言えば、そこまで考えて提供したい!!しかし時間とお金が間に合わなかったりするのが現実。そこで現地に入る支援員がそれを担うのだ。使いやすい整理整頓、日々の手入れ、壊れた時の一次切り分け、サポートへの連絡。具体的に言えば、学校で管理しやすいようにシールを貼ったり名前をつけたり、台帳や貸出カードを作ったり。こまかい周辺機器やコード類がどこかにいってしまわないようにまとめて使いやすく配置したり。

以前ちょっと書いたことがあるが、LANケーブル一つでも、ハブ側とPC側で頭に違う色のカラーのビニールテープをつけておくだけでも、席移動時の差し替えによるループは激減する。

そんな工夫がアイデアが、それを実行する機動力が我々には必要だ。アイデアだけでなく、実際にやるのだ。それをやる暇が先生にはないのだから。他にも仕事は山ほどある。

 

それでも支援員について話してと言われると、構えてしまう。なのであえて、文章にしてみれば少しは頭の中が整理できるかなと思って書いてみた。なぜならぼんやりした部分が多すぎるからかもしれない。思うことが、日々少しずつ変わるのは、自分が対応する自治体が多く、それぞれが日々違う考え方で動いているからで、そこに行く支援員は勤務先の学校の幸せを願って働くのだから、支援する学校が変わればサポートする側の頭も切り替えることになるのは当たり前で、やむを得ないのか?と言うことを考えている。

スタンダードがあるようで、しかし現場によって、自治体差、校種の差、地域差、そして個人差…実はそこに入っている販売店にも差があり、そんなことに関わらず支援に入る我々には、それはかなり上下左右にマージンがなくてはいけない。同じ自治体の案件がずーーーーっと続くなら、そこに特化した支援になっていくので、それが正義になっていくけれど、必ずしもそれが本当に良い結果を生んでいるとは言えないのが自分の印象だ。これは、それまで閉鎖的な状態で支援が続いてきた地域を引き取ったりした場合に顕著に見られる。

学校単位でも、こだわりが強かったり、異様に心配性だったり、または無闇に派手にやりたい人が方針を決めている場合、しばしば私には納得できない要求がくる。しかし現場はそれを求めているのだからと、支援員はそこでの信頼を勝ち取るために必死に対応しようとする。そもそもが「支援します」なんていう我々に、初めて出会う学校の対応はほぼウイルス扱いだと言った人がいた。また「一人アウェー」だと言った人もいた。そのくらい我々は「異物」だ。現場は、「ICT支援」ときいて、誰一人ググったりはしない。自分の中の「ICT支援」を考えるのだ。なるべく都合の良い「ICT支援」だ。

そしてそれに応えてもらえないと、がっかりする。ある程度情報担当の先生が完全に管理している場合、そりゃあ他所からきた「専門家」なんて煙たいだろうから、冷たくされたりすることだってある。いや、それ以前に勝手にすごいエンジニアみたいな人だと思って、普段困り果てているパソコンの基本操作なんてきくのは恥ずかしいとき思い、話しかけもしない。高度なICTに決まってるから、私には関係ないと視界の外にやる。そんな現場にひとりぼっちで放り込まれ、そこからスタートだ。支援員はこんなことができますというパンフレットを一度作ったが、あれは改善の余地がありありだと思っている。伝わっていない。知られていない。だからみんな勝手な想像で期待したり失望したり大喜びしたり怒ったりするのだ。プレゼンで導入に持ち込んだ自治体は、今モーレツに役立っている。委員会には何人もの校長先生や現場の先生からお礼のメッセージが届いている。それでもまだ現場には隅々まで伝わりきっていない。まだまだ努力が足りないと反省ばかりだ。

ちなみに「納得できない要求」それは、それをやってしまうと、実は先々を考えると周りの先生方には、そして、支援員本人にもなにも良いことがないものを指す。ICTを使うために授業や生徒指導がよそになったり、逆に機器を全く使わず効果なしと判断され、次への予算がどんどん取りにくくなるケースもある。もしくは到底支援員の導入目的とは外れた、ヘビーな作業、高度な作業、無関係な作業などだ。しかし、それをどう対応すべきなのか、冷静に判断できる支援員は少ないだろう。かつての自分もそうだった。何でも屋だった。本当はそれが求められているのかもしれない。けれどそれでは何も変わらない。いずれ支援員も学校の忙しい泥沼に飲み込まれて動けなくなってしまうのだ。(本人は活躍してるつもりになってしまうからタチが悪い)だからこそ、今、支援員さんに、そういう時の逃げ場やうまくブレーキをかける方法や、相手に安心感を与える言い方を教えたり、代弁したりするのが私のような中間に立つ人間の仕事だと強く思う。もちろん、支援員さん本人が圧倒的に信頼を得てからでないと、突っ走る人を柔らかく受け止めながらブレーキをかけ、少しだけ方向を変えるのはとても難しい。だから、現場に立つ人のコミュニケーションスキルをしっかり育てる必要がある。なるべく短期間に信頼を勝ち取り、対話ができる立場にならないと、ICTは「強い」管理職や委員会、もしくは情報担当(これは中学の場合技術の先生)の方針で方向性が強引に固められてしまい、先生方に選択肢がなくなっていくからだ。とはいえ、それだって、頭が変わればガラッとひっくり返る。禁止方向でもイケイケ方向でも先生方の本来の「授業」の目的の阻害になることが多い。本当にさまざまで一つ一つの例を話さないとうまく伝わらないかもしれない。

「授業」は大切。私たち外部の人間はその聖域に踏み込むことは中々に許されないと思っている。しかし、だからといって、それにこだわりすぎて、ICTを不要に制限するのはおすすめできない。その安全性と注意点を話すには、たくさんの知識が必要だが、それはICTの基礎体力でもあり、本当は先生のみならず子供達にこそ伝えたいスキルだと思う。モラルという言葉ではなく、情報技術という視点で、できること、できないこと、できるかもしれないことを知って、危険を察知したり、予防すれば、ICTは魔法のように私たちを幸せにしてくれるだろう。

そう、本当は私たちは、そう言ったことを日々先生方に伝えていきたいのだ。

いずれ子供の時からICTを理解し、思うように動かして、我々の支援など不要になる時が来るのか。というと、実は私たちの仕事はそれだけではない。いや、むしろそれ以外の所が爆発的に多いことも、我々を投入しようと目標値を掲げた文科省の方にはちゃんとわかってほしいと思うのだ。その部分はICTに限らないことなのだけど、それだって、本当は子供達に伝えて身につけさせられることなのだ。

私たちの得られる情報をもっともっと集めて発信したい。業者や自治体の垣根を超えて、支援員の知見を集めてできることがあると感じている。現場の声をたくさん聞き、また、研究者と言われる名のある先生のお話を聞き、そして子供達と触れ合い、時には学校をサポートする保護者にも関わる私たちだから知っていることがこんなにあるのに、それを捨ててしまっていいのだろうかと思うのだ。どんな形で発信すればいいのだろう。いつものように、思いつきでこの冬一度やってみようか。ああ、、すこし頭が整理できたかな。